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2013.04.04

公開の代償

こんにちは。スマイラです。

昨日に続いて、もう1回だけ「ワールド・ビジネス・サテライト」ネタを書こうと思います。

京都の従業員20名の中小企業の寝具会社が、日産自動車の特許を使った商品を製造・販売しているという特集をしていました。

日産の高級自動車のアームレストに使用されている特許素材を使って、自社製品のクッション(ソファ)を作っています。

ここで使用されている日産の特許技術は、人の指先を模した表面構造で、滑らかな肌触りを実現した素材なんだそうです。

そして、この会社は、日産自動車の別の特許を使って、新しい商品も企画しているようなお話でした。

特許を取れるような発明をする能力と、特許を活用して売れる製品にする能力は、しばしばiPodなどで「日本の企業は作る力と技術はあったのにアップルに先を越された」といわれるように、まったくの別物です。

それに、日産自動車ほどの会社であっても、いくら「いい」とは思っても、設備や製造技術や市場の問題などでソファやクッションまで作るわけにもいかないと思います。

しかし、こういう「素材」の特許であれば、いろんな製品に応用することができそうなので、自社で市場は把握しているし、商品の企画もできるけれども、素材の開発や発明までするのが困難な企業は、こういった大企業の特許などを活用して新製品を企画するというのは、合理的で優れた方法だと思います。

日産自動車だけでなく、多くの大企業は、莫大な数の特許出願をし、特許を取得しています。そして、それらの情報は、原則として出願日から1年半後にすべて公開されます。

けれども、そのすべてが実施されているわけではありませんし、そもそもすべてが特許になるわけでもありません。単に公開されて終わり、という発明もたくさんあります。

特許になったものでも、今回の事例のように、業界や市場が違えば、実施許諾の可能性も高いと思いますし、特許は維持するだけでも結構なお金がかかるものですから、むしろ、大企業側にとってもありがたい話になるかもしれません。

ですから、市場や製品企画力のある企業が、新製品の企画をするときには、異業種であっても、自社製品に応用できそうな特許を取得していそうな企業の目星をつけて、そこの特許公報を参考にしてみるのもいい方法だと思います。

そもそも特許制度自体が、技術情報の公開の代償として独占権を与えるものですから、多くの会社が公開された情報を活用して、いい製品をどんどん出してほしいと思います。



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